イメージコンサルタントはバイアスを理解し、活用する

皆さん、こんにちは、IRC JAPAN代表の安積陽子です。

日米を拠点に20年にわたり活動するイメージコンサルタントとして、多くのバイアス(偏見)やステレオタイプ(先入観)がファッションと個人のイメージにどのように影響を与えるかを目の当たりにしてきました。

私たちが無意識に抱えるバイアスやは、個々人がどのように服を選ぶかだけでなく、社会がその人をどのように評価するかにも大きな影響を与えます。

バイアスにはさまざまな種類がありますが、今回は一般的なバイアスやステレオタイプを7つご紹介したいと思います。

①ファッションにおけるエイジズム

エイジズムは、年齢にふさわしい服装に関する偏見を生み出します。たとえば、年配の人は保守的な服装をすべきだというステレオタイプや、若者は若々しい服装をするべきだという偏見があります。これらのステレオタイプは、個人の自己表現を制限し、社会の期待に応えるために無理に従わせる力として働くことがあります。イメージコンサルタントは、どの年齢のクライアントであれ、社会の常識に縛られずに自分に自信を持って快適に感じる服を着ることができるよう、服装を提案することが重要です。

②性別ステレオタイプ

性別ステレオタイプは、ファッション選択に大きな影響を与えます。男性は「女性的」とされる服を避けるべきだとされ、女性は「男性的」な服装をすることを批判されることがあります。これらの硬直した規範は性別役割の古い概念を強化します。時代の変化とともに、性別ステレオタイプに対する社会の見方は徐々に寛容になってきてはいますが、私たちイメージコンサルタントは根強く残る性別ステレオタイプに挑み、クライアントが自分らしさを装いで表現できるようサポートすることが大切です。

③プロフェッショナルなバイアス

職場環境では、適切な服装に関する強いバイアスがあります。ネクタイとスーツの装いがプロフェッショナルの象徴とされ、カジュアルな服装は非プロフェッショナルと見なされてきましたが、これらのバイアスは、異なる服装を好む人々にとっては不利となります。これからの時代は環境に優しく、多様なスタイルと快適さを取り入れたインクルーシブな職場環境を推進することが、公平な職場を作り上げる鍵となります。

④体型に関連するバイアス

体型やイメージに関連するバイアスは、服装の選択に大きな影響を与えます。異なる体型に対して「適切」とされる服装に関するステレオタイプが存在し、従来の美の基準に合わない人々を疎外することがあります。イメージコンサルタントは、ボディポジティブなアプローチを推進し、すべてのサイズのクライアントにスタイルを提案できることが、これらのステレオタイプを打破するために重要です。

⑤ファッショントレンドに関するバイアス

ブランドの選択もバイアスを生むことがあります。高級なハイブランドは成功や洗練と結び付けられ、一方で過度に目立つロゴやブランドのアイテムは過剰なアピールや品がないと見なされることがあります。逆に、あまり知られていないブランドや手頃なブランドを選ぶと、経済的な状況について誤解されることがあります。イメージコンサルタントは、服の質と個性に焦点を当てることで、これらのバイアスを緩和することができます。

⑥サブカルチャーのステレオタイプ

特定のサブカルチャーは独自のファッションスタイルを持っており、これに対するバイアスもあります。たとえば、ゴスやパンクのスタイルが「反抗的」または「否定的」と見なされたり、ボヘミアンやヒッピースタイルは、「非現実的」や「無責任」と見なされることがあります。また、フリルやリボンが多用された可愛らしいスタイルロリータファッションは、「幼稚」や「現実逃避的」と見なされることがあります。ファッションの選択を通じて、個々のアイデンティティを尊重し、その独自性を引き立てるお手伝いをすることがイメージコンサルタントの使命ですから、これらのバイアスに対して私たちは常に新しい視点とオープンな姿勢を持ち続けることが大切です。

⑦ブランドバイアス

ブランドの選択もバイアスを生むことがあります。ハイブランドは成功や洗練と結び付けられ、一方で目立つブランドは見せびらかしと見なされることがあります。逆に、知られざるブランドや手頃なブランドを選ぶと、経済的な地位についての仮定が生じることがあります。イメージコンサルタントは服の質と個性に焦点を当てることで、これらのバイアスを緩和することができます。


数多くあるバイアスの中から、今回は7つのバイアスをご紹介しました。イメージコンサルタントは、人々がどのような面でどのようなバイアスを持っているかを正しく理解する必要があります。そして、その理解を基に、時にはバイアスを逆手に取り、より魅力的なイメージ作りに活用することができるのです。

これからイメージコンサルタントを目指される方は、ぜひ社会学や心理学の知識も深めてください。バイアスを正しく扱う方法を学び、クライアントに対して的確なアドバイスを提供することができるようになるでしょう。


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