高市早苗のスーツに見る、勝負するリーダーの姿

皆さま、こんにちは。IRC JAPAN代表の安積陽子です。

今回の自民党総裁選で石破茂氏が逆転勝利を収めたことは大きな話題となりましたが、高市早苗氏の存在感もまた多くの人々の注目を集めました。

そこで今回は3人の女性リーダーたちの装いに焦点を当て、そのスタイルがどのように彼女たちの存在感を支えているかを探ってみたいと思います。

高市氏が定番としている、黒や紺、グレーのスーツにパールを合わせたシンプルなスタイルは、彼女の直裁的な性格を象徴しています。かつて、緑やオレンジ、ターコイズブルーなど派手な色彩のスーツを纏った女性政治家も見られましたが、日本の保守的な政治文化において、華美さや過度な自己主張は歓迎されにくいのが現状です。その中で、彼女が華やかさを抑え、シンプルでありながら存在感のある装いを選ぶのは、一定の社会的期待や政治的背景を反映していると言えるでしょう。

パールを取り入れることで、実務的なスタイルに上品さを加え、絶妙なバランスを保っています。男性主導の政治の舞台で、強い自己主張を抑えつつも、確かな存在感を放つ――まさに、女性リーダーとしてのひとつの姿を表現していると言えるでしょう。

しかし、このようなスタイルは時として「保守的すぎる」と評されるリスクも伴います。高市氏の装いには、自身の思想との一貫性が感じられますが、状況に応じて少しの変化を取り入れることで、視覚的なバランスを保ちながらも、さらに広い層に強いインパクトを与える可能性があるでしょう。装いに新たな要素を加えることで、柔軟さと適応力や、リーダーとしての多面的な魅力を引き出す一助となるはずです。

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高市氏とは少し異なるリーダーとしてのスタイルを持つフランスの首相、エリザベット・ボルヌ氏。力の抜けた装いは、彼女の性格や仕事の仕方を象徴しているようです。アクセサリーは必要最低限、メイクやヘアスタイルも常に自然体であり、派手な装飾や目立つアクセサリーを避け、機能性さを重視するそのスタイルは、外見で注目を集めるよりも、仕事の成果で評価されることを彼女自身が強く意識しているのが見て取れます。

彼女の肩肘張らないファッション選択は、華やかさに頼らずとも力強いリーダーシップを発揮できるという静かな権威を表現し、現代の軽やかなリーダー像を体現しているように感じられます。

一方、11月に迫る大統領選挙を控えているアメリカの副大統領、カマラ・ハリス氏は、カラフルで力強いパンツスーツを愛用し、装いを自己表現の重要な手段として活用しています。彼女の装いは、ジェンダーや人種の壁を乗り越えるリーダーシップの象徴となっており、多様性と進歩を表現しているかのようです。装いに取り入れるカラーの範囲ももっとも広く、社会における多様性の重要性を強調する強力なメッセージとして、装いを利用しているように思います。

今回、三人の女性リーダーに焦点を当てましたが、彼女たちのスタイルを比較することで、それぞれの国の文化的背景や政治的状況がリーダーの装いにどのような影響を与えているのかが見えてくるようです。

今後、日本の女性リーダーがトップに立つためには、装いを含めた印象管理がますます重要になるでしょう。強さや堅実さを象徴するスタイルは、特定の文化圏では効果的な手法の一つですが、これからのリーダーには、政治的状況や国民の期待、文化的背景に応じて、柔軟にスタイルを調整する能力が求められるはずです。

装いを通じて幅広い支持を得るためには、個性と共感のバランスを取ることが鍵となるでしょう。